保元物語 - 23 重仁親王の御事

 さる程に、新院の一宮重仁親王のおはしまし所きこえずして、人々承(っ)て、かなたこなた尋まいらする所に、今日十五日、女房車に乗(っ)て、朱雀門の前を西へ過させ給ふを、平判官実俊、見付奉(っ)てとゞめ申せば、御出家あるべきにて仁和寺の方様へわたらせ給ふとぞ御供の人申ける。よ(っ)て此よし奏問しければ、たゞ素懐をとげさせまいらすべき由仰下されけり。花蔵院僧正定尭、参(っ)て申さるゝ子細有(っ)て、中御門東洞院なる御所へぞうつし奉ける。則実俊承(っ)て守護しまいらせけり。


保元物語 - 24 為義降参の事